MBAシリーズ3: MBAへの出願には何が必要か? (準備)

この記事の筆者
・ 早稲田大学政治経済学部経済学科卒
・ 米国一流校にてMBA取得(専攻 Finance, トップ10%)

MBAシリーズその3です。

2では「MBAで一体何を学ぶのか?」「どういうことに役に立つのか?」についてお伝え致しました。

シリーズ3では、「MBAへの出願には何が必要か? 」について具体的に解説していきます。

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目に見えにくい追加コスト

キャリアアップの大きなきっかけとなる可能性のあるMBA留学ですが、私費で行く場合「学費・現地での生活費が高い」(私学だと2年の学費で計1,000万円以上が普通)、「2年もの時を要する」(その間給料も入って来ない)、ということで金銭・時間面でコストが高くリスキーだと申し上げました。

この点、卒業後の再就職に際してのキャリアップ・・・端的には上がる給料の額・・・の可能性と犠牲にするものを秤にかけて慎重に検討しなくてはなりません

さて、これまで述べたこのような本丸のコスト以上に、さらに見えないコストがあります。

英語が母国語ではない日本人にとっては出願の「準備期間」にかなりの時間を要するのが普通で、通常1年ぐらい、場合によっては英語の勉強を再開することから始めて2~3年費やすことがあります。

その間、時間以外に教材費やテスト受験費用等の金銭面でのコストも少なからず発生します。

以下、MBA留学を検討している方のため、出願には何が必要で結果どのような時間・金銭面のコストが生ずるか、ざっくりご説明したいと思います。

出願に必要なもの

英米では大学・大学院とも、日本の大学のような一発の試験でノルかソルか、というものではなく、色々な要因を勘案して判断されます。

どちらがいいということはなく、フェアさでは日本(審査官の主観の余地が入りにくい)、総合的視点や努力が報われる・アクシデントが少ないという点では英米です。

日本の大学と比べ、英米の大学は入るのは比較的簡単で、卒業が難しい、とはよく言われます。私もMBAで単位を取るに苦労したので、後者は確かです。

一方、ある程度のランキングのMBAプログラムとなると入るのもそう簡単ではありません。特に海外学生の場合で、全米50位以内の学校の場合なべて倍率が5倍は超える感じです。

審査は以下の要因を総合して行われます。学校によって違いますが、ウェイトについて◎・〇・△で大まかに示しておきます:

●GMAT ◎
●GPA 〇
●履歴書(職務経験) 〇
●志願論文 ◎
●その他エッセー △
●推薦状 △
●電話面接 △

という感じです。ここで海外学生の場合有名な「TOEFL」の点数をスクリーニングに使うため、提出する必要する必要があります。なおあまりに低いと足切りにする、という目的のみに使われるため、審査には直接影響しません。

耳慣れない語があるのでいくつか解説です。

「GMAT」(Graduate Management Admission Test)

とはビジネススクール受験者用の専門のテストで、受験形態としてはTOEFLに似た所があり・・・会場に行って一人でコンピューターにて受ける・・・ビジネス英語とビジネス数学の二科目を受け、800点満点となっています。

全米50位以内のビジネススクールに入りたい場合、600点代後半は欲しいところなのですが、これがかなりタフです。数学はともかく(日本人はこちらで稼ぎます)、英語についてはTOEFLが非ネイティブ向けのテストであるのに対し、GMATは英米人を想定しています。

我々が「現代文」で受験するのにニュアンス的には似たところがあり、手強いです。

内容を簡単に説明しておきますと、

●数学はマックス高1~2ぐらいまでの一般的な内容ですが、確率・統計学的な条件判断などビジネスに必要であろう、という内容になっています。慣れればさほど難しくはありません。

●英語は大きく「推論」と「文法」に分かれており、痛いぐらい手強いです。日本の現代文の物語文のように情緒的な内容はなく(説明文のみ、という感じ)、やはりビジネスに必要な論理性を試されます。

「GPA」(Grade Point Average)

とは、大学の成績で優(A)=4, 良(B)=3, 可(C)=2 として単位で加重平均した4.0点満点の値をいい、卒業すれば成績は構わん日本と違い、英米ではかなり重視されます。これは既往ですので努力してもどうにもなりませんが・・・。一方他は努力で改善出来ます。


掛かる時間とカネ

上記の各審査項目についてどれぐらいの手間とお金が掛かるか、ざっとご説明しておきます。

TOEFL

・時間: MBAは大学でなく「大学院」ですので、満点に近い点でないと上位校ではそれだけで足切りされます。科目としては読解・文法・リスニングによる総合評価です。ため、英語力が既にある程度あることが前提になっており、TOEFLで手こずる場合2~3年準備の長期コースになります(泣)。

・金銭: TOEFLの値段はコロコロ変わるのですが、1回250ドル弱ぐらいで、現在の為替レートですと2万円台後半とお高いです。特にいい点が出るまで何度も受験する場合・・・。あとプラス教材費ですね(泣)。

GMAT

・時間: テストを受けること自体は、日本の東名阪他大都市で提供されており、行って数時間使うだけですが、何しろ勉強に多大な時間を要します。「多大」です。

・金銭: 現在、1回250ドルで、今の為替レートですとやはり2万円台後半とお高いです。特にいい点が出るまで何度も受験する場合・・・。あとプラス教材費ですね(泣)。

GPA

・時間: 卒業した大学まで行って英文成績証明書を取り、エクセルで上記のような簡単な加重平均をしてみて下さい。もう変えられない分、時間は掛かりません。

・金銭: 取得費用だけですので、電車賃含め数百円です。

履歴書

・時間: 他の純アカデミックな修士プログラムと違い、MBAは実学的なプログラムなため職務経験を重視する、という変わったものです。逆に言うと、学士から修士へすぐ行くのがアメリカでも普通ですが、MBAの場合大学を出て一旦数年働いてからでないと入れない、という特殊な環境です。

この職務経験・実績を見る目的で履歴書を作ります。フリーフォーマットで日本の定型のあるものとは違い、自身をいかにアピール出来るかがポイントで、工夫して用意するのに案外時間が掛かります。

・金銭: 要しません。

志願論文

・時間: 何をして来て / 今後何をしたく / そのためにMBAプログラムで何を学びたい、ということを筋道立てて述べる論文で、主体性を重んじるMBAでは非常に重視されています。内容を何度も推敲する必要があり、アウトプットはワードで作ってレター / A4一枚こっきりですが、多大な時間を要します。英語で書く必要があることもあり・・・。

・金銭: 要しません。

その他エッセー

・時間: 上記の志願論文が一番大切ですが、補足的に出願者の資質が分かる内容をアピールするもので、2~3本提出が必要です。主にリーダーシップについて書くのが普通となっています(大学のサークルでの幹部経験等)。

・金銭: 要しません。

推薦状

・時間: 日本では聞きなれない慣行ですが、上記のエッセーが自らのアピールであるため、客観性を担保するために推薦状なるものが2~3通必要となります。

会社の上司や大学のゼミの指導教官に書いてもらいます。推薦者が書くのが普通ですが、耳慣れない風習であるのと英語であることもあり、実際には出願者自身が作成して内容を大まかに説明し、サインだけもらう、ということが日本では横行しています。このためこれもかなりの時間を要します。

・金銭: 要しません。

電話面接

・時間: こちらは必須ではなく、特に「ボーダーライン」にいる人に要請されます。国際電話で相手の顔も見えず、しかも英語なのでかなり緊張します。このため、自身で作成した履歴書・出願論文を元に想定問答集を作っておく必要があり、要請された場合ここでも多少の時間を食います。

・金銭: 要しません。国際電話代金が少し高いぐらいです。

なお、「MBA留学予備校」というものがあり、TOEFL / GMATの対策教室や論文の書き方指導を提供していますが、これがお高く数十万円にのぼります。利用する場合金銭的にはこちらが一番財布を傷めます。

最後に

留学中の金銭・時間コストは膨大ですが、このように準備期間のコストもバカになりません。準備期間については金銭より時間です。というのは、多くの人は働きながら以上のことを同時にこなさなくてはならないからです。

大きな転機となる可能性のあるMBA留学ですが、本丸のコスト以外に事前コストもかなりの負担になりますため、慎重な検討を重ねた上、挑むなら覚悟を決めた上で挑戦下さい。

次の記事では、MBAシリーズ4: MBAとコンビで取る資格 (追加資格)について解説していきます。

筆者のプロフィール
ナッシュ(仮名) 40歳台前半 / 男性

[学歴] ・早稲田大学政治経済学部経済学科卒
・イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校 MBA(全米トップ50傑以内)
専攻: ファイナンス, トップ10%で卒業

[職歴] ・経理・IR畑を経て、投資銀行業務(M&Aアドバイザー)や財務系SEを経験
EQが低く人間関係が下手であまり大成しませんでしたが、数字いじりだけは得意でした。
・40歳にてフリーランスの産業翻訳家として独立
言語は英語・タイ語、主要対象分野は財務・法務系(アニュアルレポート・契約書等)
翻訳家になりたかった、というより通勤電車がイヤで無理に脱サラした感があります。
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