MBAシリーズ6: MBAプログラムの様子(仕組み)

この記事の筆者
・ 早稲田大学政治経済学部経済学科卒
・ 米国一流校にてMBA取得(専攻 Finance, トップ10%)

MBAシリーズの続きです。

シリーズ5では「費用対効果(回収)」についてお伝え致しました。

MBAを志している方のために、フルタイムのプログラムで2年間の様子がどのようなものか、卒業後の再就職に関する注意点(就職活動)について述べたいと思います。

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単位

すでにご解説済みですが、大きく

一年目: “Core”と呼ばれ、広くビジネスに関する必修科目を履修

二年目: “Elective”と呼ばれ、戦略 / 金融 / ITのいずれかに絞って選択科目を履修

という感じになっています。単位は英米の1単位 = 日本の4単位という感じです。

私の行ったプログラムでは一年目で10単位必須(一つも落とせません)、二年目で最高10単位履修出来て卒業の要件としては最低8単位、計18単位で卒業、という感じでした。4倍すると72ですので、確かに日本の大学の2年分ぐらいです。一方、単位の取得は日本の大学のようには甘くなく、基本授業は全て出席しないとすぐビハインドになります。

なお、修士号ながら修士論文などを書いて審査を受ける必要はなく、所定の単位を取得するだけで学位が貰えます。この点もMBAプログラムの変わっているところで、この点(だけ)はラクです。

成績 / GPA

これも簡単にご説明済みですが、”GPA”(Grade Point Average)とは各科目の成績でA(優)=4, B(良)=3, C(可)=2とした単位での加重平均を言います。MBAに出願する際も大学時代のコレを計算して提示することが要求されます。また、B+, B-等細かい区切りもあり、この場合小数点になります(B+は3.3など)。

成績の付け方は日本と同じく中間・期末試験 + ペーパーの評価という感じで、MBAは他よりペーパーの比重が高い印象です。非常にざっくりですが、試験とペーパーで半々といった感じでしょうか。なお戦略(定性)系を専攻するとペーパーの割合が高くなり、金融(定量)系を専攻するとテストの割合が高くなる、という傾向はあります。日本の出席点に似たもので、授業中の「発言点」というものを加味する教授もあります。ウェイトはさほど大きくありませんが、英語での発言なのでこれも日本人にとっては辛いところです。

なおほとんどのプログラムが、セメスター毎に一定の累積GPAを維持できないと放校(キックアウト)にするという規定を設けており、教授の方針によって「相対評価」のクラスもあり・・・ある一定の人数に必ず低い成績が付く・・・中々大変です。B平均(3.0)としているところが多く、ランキングが上のほど集まる生徒が優秀で相対評価による競争、ある種の叩き落し合いが熾烈になります。一番競争が激しくて有名なのはHBS(ハーバード・ビジネススクール)で、かなりの数がキックアウトになると聞きます。私の出たプログラムはやや甘く、2.75となっていましたがそれでも見た感じ2~3%はキックアウトされるか無理だと悟って自発的に去って行きました。

勉強をさぼって成績が悪かったら追い出す、というのはもっともですが、その規定の上に相対評価はヒドイではないかと感じます。いくら頑張っても、周りがもっと優秀でもっと頑張っていたら脱落する可能性があるわけです。ビジネス界は競争社会なので蹴落とし合いに慣れさせておくため、という説もあります。いずれにしてもドイヒーです。

以上の点、MBA留学の大きなリスクの一つだとご指摘しておきます。あるいは、背伸びして実力以上に高いランキングの学校に行かない、という慎重さも必要かと思います。


学期 / スケジュール

アメリカの大学・大学院は「セメスター」(半期)制なのが普通で、秋季学期と春期学期があり、日本と違い大抵秋季学期から始まります。一回のセメスターが3ヵ月半ぐらいで、その間は詰め込まれますが、休みが長いのも特徴です。

典型的なスケジュールとしては:

●一年次秋季セメスター: 9月~12月半ば
●クリスマス・新年休暇: 12月半ば~1月
●一年次春期セメスター: 2月~5月半ば
●夏休み: 5月半ば~8月
●二年次秋季セメスター: 9月~12月半ば
●クリスマス・新年休暇: 12月半ば~1月
●二年次春期セメスター: 2月~5月半ば
●卒業式!!

という感じです。卒業式では例の黒いガウンと帽子をかぶって出ます。

ちなみに私はトップ10%だったのでステージ上で表彰されるはずでしたが、もうコリゴリという感じで、ネットで単位が確定したのを確認したら一目散に日本に帰り卒業式はすっ飛ばしました。このため、本プログラム始まって以来の裏切り者、と後ろ指をさされたものです。

さてご覧になって分かるように一年次と二年次の間の夏休みが3ヵ月強と非常に長く、何をしておくか考えておかねばなりません。「インターン」に費やす人も多く、卒業後再就職が控えている方はこれがきっかけでその会社に入社出来る場合もありますので、旅行するかインターンか?、よくお考え下さい。但し英語力の問題で日本人が米国の企業でインターンの機会を与えられることはあまりないため、その間は日本に戻ってインターンをする、という人もあります。

一年次はセメスターをさらに半分に割って、0.5単位の科目を大量に取らされるというのが普通です。二年次はセメスターに渡って1単位の科目をいくつか選択して取ります。このため、一年次は1セメスターで5単位、二年次は1セメスターで4~5単位となります。私は欲張って20単位フルに取ったため、GPA面で少し損をしました。

よって、一期間中に履修する科目数としては4~5個であり、各科目60分~90分の授業を週に二回(90分が普通のようです)という感じです。よって、クラスにアテンドしている時間は1科目90分としてマックス15時間 / 週程度でありさほどきつくないイメージですが、大量の宿題が出ますので授業が終わったらすぐ家に帰ってヒーヒー言いながらアサインメントをこなす、という生活です。土日も遊んでいるヒマはありません。

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負担

全般に他の修士プログラムより詰め込み型でかなり過酷です。

学業面では二年次より一年次の方が全般に大変です。理由としては:

●広く取らされるので、二年次の得意な専攻と違い苦手な科目も入って来る。
●分量もフルに10単位なので多い。
●慣れない。特に英語で何かをするのは大変。
●累積GPAのプレッシャーが強い(二年次になると半分確定しているので心理的にラク)。

一方で、学業面では二年次は一年次よりもラクなものの、卒業後再就職する方は就職活動も二年次に平行してやらなければなりません。卒業後日本で働く場合、面接などのため合間を縫って日本と米国を行ったり来たりする場合もあります。一旦卒業してからゆっくり就職活動しよう、というならば負担は少ないですが、経済的にそう悠長なことも言ってられないケースが多いはずで・・・結局理由は違いますが二年間ずっと大変です。目指す方は覚悟のほど・・・。

筆者のプロフィール
ナッシュ(仮名) 40歳台前半 / 男性

[学歴]

・早稲田大学政治経済学部経済学科卒
・イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校 MBA(全米トップ50傑以内)
専攻: ファイナンス, トップ10%で卒業

[職歴]

・経理・IR畑を経て、投資銀行業務(M&Aアドバイザー)や財務系SEを経験
EQが低く人間関係が下手であまり大成しませんでしたが、数字いじりだけは得意でした。
・40歳にてフリーランスの産業翻訳家として独立
言語は英語・タイ語、主要対象分野は財務・法務系(アニュアルレポート・契約書等)
翻訳家になりたかった、というより通勤電車がイヤで無理に脱サラした感があります。

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