MBAシリーズ8: MBA卒業後の職業(仕事内容)

この記事の筆者
・ 早稲田大学政治経済学部経済学科卒
・ 米国一流校にてMBA取得(専攻 Finance, トップ10%)

これまで、MBAで学ぶ科目が卒業後に就く職種によりどの程度役に立つか、についてご解説してきました。

シリーズ7では「 MBA二年次(専攻)」についてお伝え致しました。

本稿では、MBAで金融を専攻した人がいわゆるプロフェッショナル系、すなわち投資銀行マン / インベストバンカーとして卒業後典型的にどのような職務に就くものか、簡単にご紹介したいと思います。

一口に投資銀行業務といっても、多種多様な業務があります。その中で、MBAホルダーが就く可能性が高い職種をいくつか列挙致します(なる割合が高い順に並べております)。

なお、私自身は以下の最初に来ているM&Aアドバイザーは実際に経験がありますが、他は一般的な知識や他部署を見聞きしたもので、概ね間違いはないはずですが万一不正確な部分がありましたらご容赦下さい。

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MBAホルダー / ファイナンス専攻者が就くプロ系職種

M&A(Merger & Acquisition)

「M&Aアドバイザー」などと称され、M&Aに際し買収側か売却側に付き交渉面や価格などに関して様々なアドバイスをします。第三者としてクライアントを擁護し、場合により代理で交渉するなど弁護士に似たところがあります。双方に別のアドバイザーが付き喧々諤々の交渉をすることもあります。主な業務内容は以下の通りです:

・取引スキームの考案・制定
・バリュエーション(売買価値算定)
・契約条件交渉・契約書作成支援
・デュー・ディリジェンス(買収前詳細調査)の手配・司会進行
・実際の取引にまつわる諸手続きの支援

かなり多忙で、世の中で最も激務とされる職業の一つです。MBAホルダーでこれになる人が多い、という理由の一つに案件個別の要因が多いため作業が中々IT・自動化が出来ず、人手が要る・求職が多いということがあります。

私はこれをやって神経をやられました(笑)。この職務についてはどんなものか実体験しておりますため、また別稿で改めて待遇面も含め詳しく触れたいと考えております。

IPO(Initial Public Offering)

未上場・非公開であった株式(閉鎖会社)を株式市場に上場し(上場会社)、事業拡大のためにさらに資金を募る and / or 創業者が持ち株を一部換金(実現)するのを手助けする仕事です。主な業務内容は以下の通りです:

・上場要件(財務指標等)クリアの支援
・上場申請書類の作成・提出
・初値の推定・流布(クオート)
・その他投資家に対する宣伝
・大口での引受け手の開拓
・その他市場周りの手続き

M&Aアドバイザーが有名ながら人件費と時間が掛かり過ぎてさほどもうからない一方、こちらは発行した額の数%という暴利を取る(「フロート」と呼ばれます)ため、投資銀行業務の中では一番儲かるとされています・・・従って管理職になると実績ベースでのインセンティブアップの可能性が一番高いです。

一方で、こちらも多忙ながらM&Aアドバイザーほどは人手が掛からないため、さほどの募集が無く、MBAホルダーの再就職先としては二番煎じといったところになっています。

証券分析

上記二つの方がMBAホルダーで就く人は多いながら、投資銀行家がやる仕事として世上ではこちらが一番有名で、いわゆる「証券アナリスト」です。一般の企業のIRミーティングにヒアリングで顔を出すため、影武者のようなM&A / IPOアドバイザーより目立つ、ということも御座います。

投資家(投資銀行を介して証券を売買する顧客)に対する利便として、特定の株式の利益動向を分析し、株価が上がる / 下がる / 横這いだろうとレーティングを付けて根拠と共に情報を提供する仕事です。このため、上記の二つがフィー収入による直のプロフィットセンター・収益源だとすると、こちらは遊撃・サポート的な仕事です。投資家の売買を支援する仕事であることから、正式には「セルサイド・アナリスト」と呼ばれています。

このようなアナリスト・レポートは有料の時も無料の時もありますが、近年では顧客へのサービスとして無料になっている・誰でもアクセス出来る傾向にあります。

大抵のアナリストは自動車やエネルギーといったセクターに特化しており、売買量が多い大手企業に対する分析が主で、上場していても小規模の会社はフォローされない場合も多いです(個別に依頼されれば有料でやります)。

内部的に、M&AやIPO部隊に対しバリュエーションのヘルプをする、といったことをすることもあります。

日本では、証券会社本体より子会社のシンクタンク(大和総研等)に属している場合も多いです。


カバレッジ

投資銀行にもいわゆる営業職はあり、大抵アカウント制で個々の営業マンが同じ業種の会社を何社か担当する制度になっており、御用聞きに回ります(M&Aしませんか~、IPOしませんか~等)。

MBAホルダーでいわゆる営業職に就く人はほとんどありませんが、M&AやIPOの業務経験もあり、営業主体だが業務も時にサポート的にやる、というドラクエでいう魔法剣士(魔法も剣も中途半端に使える)のような「カバレッジ・バンカー」という仕事があります。投資銀行業界ではオールマイティなので一番エライとされており、役職も高い(ヒラは通常いない)傾向があります。世上ではあまり聞きませんが・・・。

MBA入学前にすでに証券会社で業務の経験がある人が役付き入社でなる場合があります。

まとめ

このように、投資銀行と聞くと「投資する」銀行のように聞こえますが、全般に「投資させる」「投資支援の」銀行です。

一読頂いたように一口に投資銀行業務といっても様々な職種があるため、MBA在学中から卒業後どういう職務に就きたいのか具体的にイメージしながら留学生活を過ごすことをお勧めします。

筆者のプロフィール
ナッシュ(仮名) 40歳台前半 / 男性

[学歴]

・早稲田大学政治経済学部経済学科卒
・イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校 MBA(全米トップ50傑以内)
専攻: ファイナンス, トップ10%で卒業

[職歴]

・経理・IR畑を経て、投資銀行業務(M&Aアドバイザー)や財務系SEを経験
EQが低く人間関係が下手であまり大成しませんでしたが、数字いじりだけは得意でした。
・40歳にてフリーランスの産業翻訳家として独立
言語は英語・タイ語、主要対象分野は財務・法務系(アニュアルレポート・契約書等)
翻訳家になりたかった、というより通勤電車がイヤで無理に脱サラした感があります。

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