MBAシリーズ5: 費用対効果(回収)

この記事の筆者
・ 早稲田大学政治経済学部経済学科卒
・ 米国一流校にてMBA取得(専攻 Finance, トップ10%)

MBAシリーズの続きです。これまで、MBAはキャリアアップの大きな転機になるかもしれないが、時間・金銭面で多大な投資となるためリスクが高く、慎重にご検討頂きたいと述べました。

シリーズ4では「MBAとコンビで取る資格 (追加資格)」についてお伝え致しました。

本稿では、時間の点は措いて金銭面でおよそどれぐらいの費用が掛かり、MBAによる給料アップで回収するのにどれぐらいの年数が掛かるか、ということを試算してみたいと思います。

前提として、企業派遣(奨学金)ではなく一旦会社を辞め私費で行くことを想定します。

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費用

準備費用

TOEFLやGMATが一回25,000円ほどで良い点が出るまで複数回受けるのが普通です。TOEFLを3回、GMATを5回受ける・・・皆さん大体これぐらいの回数です・・・として、20万円。その他教材費や審査費用、行き帰りの渡航費(10万円X2)を含め総額50万円程度とします。

これでも「留学準備予備校」(数十万掛かります)には行かず全て自力で勉強・準備する前提ですので、低めに見積もっています。

学費

学校によりかなりばらつきはありますが、私の見るところ私学ですと2年で1,000~1,500万円というのが相場かな、という感じです。一番高いHBS(ハーバード・ビジネススクール)ですと1,000万円台の後半にまで行きます(ため息)。間を取って1,250万円としておきます。これでも少し低めかな、という感触です。

生活費

日本に居ても生活費は掛かりますが、日本に居たら掛からないであろう分を考慮します。MBAを志す若い方は実家に住んでいる場合も多いと思いますので、家賃が余分なコストだとします。ニューヨークやシカゴなどの大都市ですと(ニューヨーク大学・シカゴ大学に行く場合など)家賃は二桁台に上りべらぼうですが、大抵の大学は巨大なため比較的田舎にあります。私の行っていたイリノイ大学もシカゴから南300キロほどの所にあり、比較的良い部屋を借りて家賃は光熱費込みで5万円弱、という中々お得なものでした。これを採用し、2年間 / 24ヵ月で120万円とします。その他、家具を調達したり広いため中古の車を買うのが普通で、色々物入りですので、ざっくり200万円としておきます。

実費計

実費は計、1,500万円となります。再々ですが、かなり低めに見積もっています。一般には、バッファー含め独り身で最低2,000万、妻子連れの場合3,000~4,000万円は貯金の用意が要るね、などとささやかれています。

機会費用

さて、若干概念的な話になりますがMBAに「行っていなかったら」得たであろう給与を2年分失うことになります。MBAに行く方の年齢層としては大学を出て3~5年実務経験を経て、というのが普通ですので新卒よりは給料が高く残業代等含めて年収500万円だったとします。これもざっくりですが、まず妥当な線かと思います。すると、目に見えない「機会費用」が失われた所得という形で実は1,000万円も生じていることになります。

実費+機会費用計

都合、2,500円となりました。くどいですが、「低め」に見ています。この時点でホンマに回収出来るんかいな・・・という気分です。


給与アップ分

さて、元々500万円だった年収がMBAによるキャリアアップ・再就職で600万円になったとします。この総額を回収年数の計算に使って4年ほど、とするのは間違っています。

MBAに行かなくても500万円は普通に働いていてもえられるわけで、MBAにより「アップした分」のみを考慮に入れます。この場合100万円です。

回収年数

さて、投資金額の2,500万円に対し給与アップ分により何年掛かるか計算してみます:

  • 100万円アップ: 25年
  • 150万円アップ: 16年ちょい
  • 200万円アップ: 12年ちょい

このように膨大な時間が掛かります・・・。

さらに、英米ですとMBAをきっかけに年収が大幅にジャンプすることも多々ありますが、帰って来て日本で再就職する場合、大抵の会社は決まった年功序列的な給与体系がありますので、MBAホルダーだからといってそう厚遇される、という甘い話は中々ありません。このため、200万円アップというのは夢のような話で、良くて100~150万円というのが関の山でしょう。すると、15~25年という時間が、準備期間を含め3年間ほどで費やしたものに対し必要、という恐ろしい計算になります。

さらに言うと、私は金融が専攻でしたので「ファイナンスマン」の悪い癖ですが、利子の分の未来の金額の方が価値は低くなります。今の100円は利子率が3%だとすると1年後は103円ですね。逆に言うと1年後の103円は今の100円です。MBAに対する出費がすぐ発生するのに対し、給与アップ分は将来・遠い未来のことを考えています。こう考えると上記の回収期間の計算はそれでも甘い、ということになります。

さらに言うと、脅かすわけではありませんが(脅かしています)、確実に卒業後すぐ再就職出来る保証もありませんし、出来ても100万円以上も給与アップする保証もありません。一つには、MBAに希少価値があったひと昔前とは違い、今は日本でもMBAホルダーは供給過剰気味でありそう有難がられないということが挙げられます。

最後に

実際の数値で見て頂いて、MBAへの投資がどれだけ手痛いものか、回収には時間・リスクが伴うものか実感頂けたかと思います。

実際、MBAを取得した人に聞くと「割に合わない」と感じている方の方が多い印象です。私個人もそう感じました。YMCAでは「ヤングマン、恐れることは何もないんだ!」と言っていますが、この件については是非恐れて欲しいです。

筆者のプロフィール
ナッシュ(仮名) 40歳台前半 / 男性

[学歴]

・早稲田大学政治経済学部経済学科卒
・イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校 MBA(全米トップ50傑以内)
専攻: ファイナンス, トップ10%で卒業

[職歴]

・経理・IR畑を経て、投資銀行業務(M&Aアドバイザー)や財務系SEを経験
EQが低く人間関係が下手であまり大成しませんでしたが、数字いじりだけは得意でした。
・40歳にてフリーランスの産業翻訳家として独立
言語は英語・タイ語、主要対象分野は財務・法務系(アニュアルレポート・契約書等)
翻訳家になりたかった、というより通勤電車がイヤで無理に脱サラした感があります。

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