MBAを取得したエリートの転職地獄 その2: 初転職編

本シリーズその1では、

●ナッシュ氏こと私の転職 & 転落キャリアの概観
●新卒で入ったサービス業で表面上は大過なく過ごした様子
●実は虚栄心・金銭欲からエリートコースのインベストメントバンカーを狙っており、MBAまで取得したこと
●モチベーションが不健全だと遅かれ早かれ挫折すること
●教訓: 日本ではいわゆる「プロパー」はなお中途より優遇される傾向にあり、転職するならソレを捨てる覚悟がまず必要

といったことをご説明しました。

本稿はその続きで、時系列で私の敗北キャリアを紹介させて頂きます。

ちなみに「プロパー」・・・”Proper”、「正」つながりから来ていると思われます・・・は和製英語です。転職・転職によるキャリアップが当たり前で1社あたりの平均就業期間が4年にも満たない、という英米には「そういう概念が無い」ためです。英米は会社の財政的都合でクビになることも多いですが労働市場の流動性が高く、転職が忠誠心の低さと見られ訝しがられている面もある日本と比べ、個人主義でそういう観念もあまりなく転職は容易です。

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履歴書補強: MBA + CFA

エリート・ビジネスマンになりたい・金が欲しいという野望のため(だけ!)にMBAで金融を専攻し、比較的良い成績を収めたことはお伝えしました。

これに対し、金融業界で職務経験が無く、卒業時点で20歳台後半だったためうまくキャリア・チェンジ出来るか不安だったためこの学位プラスさらに資格で補強を試みました。

“CFA” = Chartered Financial Analyst(米国証券アナリスト協会認定 証券アナリスト)という資格があり、日本では一般にあまり知られていませんが、世界・日本の金融業界では高名です。内容はそう難しいということはありませんが、1年に一回行われるテストをLevel1~3まで3回通らなければならず、「英語」で受けなくてはならない点が日本人にとっては困難で同業界では希少価値があるとされています。

コイツを「これでもか」・「トドメ!」という感じで苦労して取り、MBA + CFAでやや年ながら履歴書の備えはバッチリとなりました。この苦労も単に虚栄心のためだけにくぐり抜けています。

ちなみに私の執筆したMBAシリーズで、MBAとよくカップルで取る資格についてという内容の稿でこのCFAについても解説しておりますため、興味のある方はご一読下さいませ。

最初の転職

勤めている会社には内緒で、色々なリクルーターを駆け回って金融関係の仕事を色々斡旋してもらい、書類提出→退社後に面接で何社も駆け回りました。が、中々受かりません。やはり日本では経験重視のため、金融関係は初めてという人間にはいくら良い関連学位・資格があっても狭き門だったためです。

数ヵ月落選を繰り返す中、ある大手監査法人系の財務コンサルティング会社がM&Aアドバイザー職のアソシエイト(ヒラの2段階目)で運良くオファーをくれました。外資の投資銀行ほどではなくとも、残業をカウントせず年俸600万円で、労働時間は長いと聞いており超勤手当を入れれば800~900万円はいくだろう、という目算でシメシメとそのオファーに飛びつきました。

何故他の証券会社等には通らないのにこちらには通ったのでしょうか? 考えられる理由としては:

●プロフェッショナル系は素養があれば、低い身分のポジションに対しては伝統的な証券会社ほど産業経験は気にしない / 一方すぐキャッチアップ出来なければ追い出すだけ、と思っている。
●Big4の監査法人・系列コンサルティング会社は、各国の支社ともグローバル・ネットワーク / ブランドの傘下で業務をしており、MBAやCFAといった米国の学位・資格の価値を知っており、内部にMBAホルダーも多く理解がある。

という感じでしょうか。後で考えるとこの転職が転職地獄の端緒だったのですが、当時は無邪気に大喜びしておりました。


ストレスでノイローゼ気味に

さてこの会社には1年数ヵ月ほど在籍しており、スタッフレベルながら一生懸命仕事に精を出し、たまたま良い案件にもいくつか恵まれ実務経験・スキル的にも職務経歴書上の実績的にもブーストされました。

が、1年を過ぎた頃からストレスでややノイローゼ気味になってきました。年収は確かに残業を合わせて900万円近くに達しましたが、毎日終電に近く土日も時に出社しなくてはならない、という長時間労働による疲労がまずあります。が、それ以上に職務内容が細かすぎてストレスに感じた、という要因が大きいです。M&Aアドバイザーでスタッフレベルの人間の職務は、主にエクセルで膨大な資料を片手に財務数値をいじることです。これが細かく・・・というか上司の突っ込みが異常にうるさくて神経をやられます。

最後の方は段々酒に溺れ気味になり、たまの休日には昼から酒を飲むようになっており堕落の兆候が見え始めます。完全にバーンアウトするのは二回目の転職先、次の会社ですが破滅の序章についてはシリーズ3にて。自分も書くと思い出すので執筆するのがコワイのですが・・・。

教訓

経営コンサルティングや投資銀行マン等のいわゆるプロフェッショナル・アドバイザー系の仕事は確かに職業的に表面上輝かしく / 聞こえが良く、いわゆる勝ち組であり年収も高いですが、一方でスタッフレベルでは残業代で単に年収が相当高くなるだけといった面もあり、長時間労働や細かい資料作成と上司のお叱りでストレスを抱える可能性があるという点、狙っている方は重々ご留意下さい。実際、一番過酷とされるM&Aアドバイザーは3年前後で辞めて事業法人に戻って行く人も多いです(キャリアとしてはいいので、まだ若いうちは戻れますが)。

一つご指摘したいのは、ストレスは長時間労働のみに起因する、という事ではナイという点です。

例えば、商業施設等で働いている警備員は勤務時間が異常に長く、一回12 / 24時間勤務なりでベースの賃金は法で定める最低賃金でも自動的に相当な超過勤務・深夜勤務手当が出るので退屈なのをこらえれば契約社員とかでも案外食える、いわゆる負け組・脱落組には穴場の職業とされています。でもいくら長時間で月50時間の超勤でもストレスでノイローゼになるといった話はあまり聞きません。

なお上記の「いわゆる」というのは世上の風聞を意味しており、私は今では職業にそういった貴賤はさほどないと考えるようになっております。

別の対照的な例で、大手広告会社に勤務しストレスで自殺した例の東大ガールは、国が言うように異常な長時間勤務だけでノイローゼになったものでしょうか? 総合商社や広告代理店は、給料は高いながらある種経営コンサルティングや投資銀行等のプロフェッショナル会社に近く、提案資料等を狂ったほどキレイに作らなければならず、何度も上司に突っ込まれ怒られやり直しを命じられ、徹夜で家にも帰れず、また怒られるかと常にビクビクし、そのうちパワハラと感じ自殺に至ったものでしょう。東大まで出たのに、というプライドも拍車を掛けたかもしれません。もう取り返しがつきませんが、ご冥福を祈りたいと思います。

筆者のプロフィール
ナッシュ(仮名) 40歳台前半 / 男性

[学歴]

・早稲田大学政治経済学部経済学科卒
・イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校 MBA(全米トップ50傑以内)
専攻: ファイナンス, トップ10%で卒業

[職歴]

・経理・IR畑を経て、投資銀行業務(M&Aアドバイザー)や財務系SEを経験
EQが低く人間関係が下手であまり大成しませんでしたが、数字いじりだけは得意でした。
・40歳にてフリーランスの産業翻訳家として独立
言語は英語・タイ語、主要対象分野は財務・法務系(アニュアルレポート・契約書等)
翻訳家になりたかった、というより通勤電車がイヤで無理に脱サラした感があります。

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